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負の遺産? 資産価値のない家を相続するデメリットと相続放棄

負の遺産? 資産価値のない家を相続するデメリットと相続放棄

実家は築40年以上で駅からの距離もそうとうあるので立地も悪い…。果たして処分できるのだろうか…。
実家を相続するときのことを考えた時、『実家に資産価値はないのではないか』と感じたことはありませんか?

このコラムでは、資産価値のない家を相続すると起こるトラブルや活用方法、放棄するメリット、手続きの流れまでを詳しく解説します。相続問題に悩まず、最善の選択ができるようになりましょう。

資産価値のない家とは

一見、家や土地といった不動産は価値があるものと思われがちですが、必ずしもそうではありません。

このセクションでは、一般的に資産価値がないとされる家はどのようなものか、また、その判断基準について詳しく解説します。

資産価値がないとされる要因

“資産価値のない家”とは何を指すのでしょうか。

具体的には、売却や活用を考えた場合に、それに見合う収益を得ることが難しい、あるいは不可能な住宅と言えるでしょう。

しかし、それだけでなく、メンテナンスや税金など、保有・維持すること自体が経済的負担となる場青もあります。

上記のような状況を鑑みて、総合的に家や土地が”資産価値のない”と判断されるのです。資産価値がないとされる要因はいくつかあります。以下に主な要素を挙げてみましょう。

1. 築年数と状態
家の価値は、築年数とその状態に大きく影響されます。築年数が経過し、老朽化が進んだ家は修繕費用がかさみ、売却価格が下がります。特に、大規模な修繕が必要な場合や、耐震基準を満たしていない古い家は、購入希望者が見つかりにく、売却が困難になる傾向にあります。

2. 立地と規模
都市部から離れた場所や、交通の不便な場所にある家は購入希望者が少なく、売却価格が下がります。また、土地の規模が極端な(小さすぎる、大きすぎる)場合や、形状が特殊な場合も、有効利用が難しく資産価値が下がる可能性があります。

3. 周辺環境
家の周辺環境も資産価値に影響を与えます。例えば、騒音や振動の問題、風景の悪さ、近隣の施設の影響(工場やゴミ処理場等)などがある場合、住むのが不快と感じる人が多く、売却が難しくなるでしょう。

4. 固定資産税の負担
家や土地は所有しているだけで固定資産税が発生します。特に、大きな土地や建物を持つと固定資産税も高額になります。売却や有効利用が難しく、かつ固定資産税が高額な場合、その家は資産価値がないと判断されてしまいます。

資産価値のない家を相続した場合の活用方法

資産価値のない家を相続したとき、それをどう活用すればいいのでしょうか。

このセクションでは、相続した家を最大限に活かし、賢く利用する方法を見つけていきましょう。

リノベーションして自身で住む・賃貸に出す

建物自体の価値が低い場合でも、リフォームやリノベーションを考えることで新たな価値を生み出すことができます。

例えば、空間の最適化や間取りの変更、内装の一新などによって、ご自身や相続人が新たな住まいとして快適に住むことが可能になるでしょう。

さらに、リノベーション後の家は、その魅力を活かして賃貸に出すことも考えられます。一般的に資産価値がないとされる家でも、求めている人にとっては価値ある存在になるかもしれません。

そのまま賃貸に出す

また、築年数が経過しているもののまだ使用可能な状態であれば、賃貸という選択肢もあります。

地域の賃貸相場を調査し、それよりも低い価格で募集をかければ、入居者が見つかる可能性も高まります。特に、短期間の利用を求める人々や、費用を抑えたいと考える人々にとっては、魅力的な選択肢となるでしょう。

ただし、賃貸に出す場合は、維持管理費や賃貸経営には修繕費用、保険費用、入居者とのトラブル対応など、賃貸経営には多くの経費とリスクが伴いますので、事前にしっかりとリサーチしてから行うようにしましょう。

資産価値のない家を相続することのデメリット

資産価値のない家を相続することには一体どのようなデメリットがあるのでしょうか。

このセクションでは、維持管理費の負担から固定資産税の問題まで、具体的なデメリットを詳しく解説します。これらの情報を元に、相続や放棄の判断に役立ててください。

維持管理費の負担

家を相続すると、その維持管理費が必要となります。これには、例えば物件の修繕費用、固定資産税、管理会社への報酬、保険費用などが含まれます。さらに、家が空き家の状態になると、防犯対策や防草対策など、通常の維持管理費以上の費用が発生することもあります。

また、物件が築年数が経過している場合、予期せぬ修繕が必要になる可能性もあり、それによりさらなる経費が発生することも考慮する必要があります。

資産価値が低い家を相続した場合、これらの維持管理費が不動産の価値を上回ってしまう可能性があります。そのため、相続する前には、これらの維持管理費をしっかりと見積もり、自身の経済状況と照らし合わせることが重要です。

固定資産税の問題

家を相続すると、それに伴う固定資産税の支払いも必要となります。

この固定資産税は、物件の価値や土地の価格などによって決まります。資産価値のない家でも、所有している限り固定資産税は支払っていかなければいけません。したがって、資産価値のない家を相続した場合、固定資産税の分だけ年間の支出が増加する可能性があります。

さらに、万が一固定資産税を滞納した場合、物件が競売にかけられてしまったり、所有者の財産の差し押さえられてしまうといった可能性もあります。

そのため、資産価値の低い不動産の相続を考える際には、しっかりと考慮し、適切な対策を立てることが必要です。

相続放棄とそのメリット

このセクションでは、相続放棄の定義とそのメリットについて詳しく解説します。もし相続に疑問を感じているなら、相続放棄が適切な選択かもしれません。

相続放棄の定義

相続放棄とは、文字通り、法律上の相続人が自分の相続権を放棄することを意味します。これにより相続人が相続したくない負債や財産を避けることができます。

原則として、相続放棄は被相続人の死亡から3ヶ月以内に行わなければならず、一度放棄するとその後取り消すことはできません。

相続放棄を行うためには、家庭裁判所に相続放棄の申述を行う必要があります。これは、誰でも行うことができますが、専門的な知識を要するため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。

相続放棄のメリット

相続放棄にはいくつかのメリットがあります。

まず、相続した財産の価値が負債を上回らない場合、つまり、相続することによる負担が大きい場合には、相続放棄を行うことでその負担を避けることができます。特に、固定資産税の支払いや維持管理費用、修繕費用など、持続的に発生する費用を抑えることが可能です。

また、相続放棄を行うと、相続人は一切の相続財産や相続負債についての責任を免れることができます。このため、相続放棄は、借金や税金などの負債が相続財産を上回る場合や、管理や処分が困難な不動産を相続する可能性がある場合に有効な手段となります。

しかし、相続放棄は一度行うと取り消すことができないため、その決定は慎重に行う必要があります。専門家と十分に相談した上で、自分自身の経済状況や将来の見通しを考慮に入れて判断することが重要です。

相続放棄の判断基準と注意点

相続放棄を考えたとき、どのような基準で判断すればいいのでしょうか。

また、どのような注意点があるのでしょうか。このセクションでは、相続放棄を検討する際の判断基準と注意点を解説します。これらの情報をもとに、より確固たる判断ができるようになりましょう。

相続放棄を検討すべき状況

相続放棄を検討すべき状況は以下のような場合です。

相続放棄を検討すべき状況      詳細
相続する財産の価値が、負債を上回らないこれには、維持管理費や固定資産税、修繕費、相続税などの継続的な出費が含まれます。これらの費用が収入を超える場合、相続放棄を検討する価値があります。
財産の管理や処分が困難売却や活用が難しく、またはコストがかかるような財産(例:資産価値のない家)を相続する場合も、相続放棄を検討すべきです。

このような場合、相続放棄によって相続財産や相続負債についての責任を避けることができます。ただし、相続放棄は一度行うと取り消すことができないため、慎重に判断することが重要です。

相続放棄に関する誤解と注意点

相続放棄に関する一般的な誤解と注意点をまとめました

  • 相続放棄が必要な場合でも、自動的に発生するわけではありません。相続放棄は自己申告制であり、手続きを経なければ有効になりません。
  • 相続放棄は一度行うと取り消すことができません。したがって、相続放棄の決定は慎重に行う必要があります。
  • 相続放棄を行うと、相続人は相続権を全く持たなくなるため、遺産分割の交渉や遺留分(法律で保証された相続分)の請求ができなくなります。
  • 相続放棄を行っても、相続人が相続前に受け取った贈与は返還する必要があります。
  • 相続放棄を行うと、次に順位の高い相続人に相続権が移ります。その人が相続放棄を行わなければ、財産と負債が次の相続人に移ることになります。

相続放棄の簡単な流れ

では、具体的に相続放棄をするためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。次のセクションでは、相続放棄の手続きの流れと必要な書類について説明します。手続きをスムーズに進めるための情報を得て、安心して進めることができますように。

相続放棄の手続きプロセス

相続放棄の手続きは以下のプロセスで行われます。

1. 相続放棄の意志確認

まず、本当に相続放棄を行うべきかどうかを慎重に決定します。専門家の意見を求めることも有効です。

2. 相続放棄の申述書作成

相続放棄の申述書を作成します。この書類には、相続人の名前、相続人の住所、遺産を相続する意志がないことを明記します。

3. 相続放棄の手続き

家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出します。この手続きは、遺産の相続が開始されてから3ヶ月以内に行わなければなりません。

4. 手続きの完了

手続きが完了すれば、法的に相続人から外れ、相続財産に対する権利と義務を放棄したことになります。

必要な書類とその準備方法

相続放棄を行うためには以下の書類が必要です。

  • 相続放棄の申述書
  • 本人確認書類
  • 印鑑証明書

これらの書類を準備した上で、家庭裁判所に提出します。提出は直接行ってもよいですし、郵送でも可能です。手続自体は大変シンプルですが、重要な手続きですので一般的には弁護士や行政書士などの専門家に依頼するケースが多いです。

まとめ

本記事では、「資産価値のない家を相続した場合の活用方法」「相続することのデメリット」「相続放棄のメリットとその手続き」について解説しました。

資産価値のない家を相続した場合でも、リフォームやリノベーション、賃貸という形で有効活用する道があります。しかし、維持管理費や固定資産税など継続的な出費がかかることを忘れてはいけません。

それらのコストが許容範囲を上回る場合や、管理や処分が困難な場合には、相続放棄が重要な選択肢となります。相続放棄には多少手続きが必要ですが、負の遺産から逃れる有効な手段です。

一度相続を受け入れてしまうと後から放棄することはできません。家庭裁判所への申述書提出は遺産の相続が開始されてから3ヶ月以内に行わなければなりませんので、時間がない中で慎重な判断を求められます。

何をすべきか迷ったときは、専門家の意見を求めることも一つの選択肢です。貴重な遺産が負の遺産に変わらないよう、本コラムの内容が最適な選択をすることの手助けになれば幸いです。

また、資産価値が低いからと言って、相続したまま何もせずに放置してしまうと、様々なトラブルが発生する可能性があります。放置空き家の問題については以下のコラムにまとめてありますので、ご参考ください。

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このコラムの監修者

監修者:秋元 弥一郎
秋元 弥一郎FP / 空家コンサルタント/ 宅建士 

宅建士・ファイナンシャルプランナー・空き家相談アドバイザー・家財整理コンサルタント、等。
不動産業界10年以上の経験と、空き家の利活用から家財撤去まで幅広い経験を活かしながら、執筆者・監修者として活動中。

【著書】
自分ゴトとしての空き家問題今日から始める生前整理、など

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このコラムを執筆した人

解決・空家サポート 編集部

解決・空家サポート 編集部

解決・空家サポートは、数多くの空き家等にまつわるお悩みを解決してきました。
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