日本では、空き家が放置される問題が深刻化していますね。長期間放置された空き家が街の景観を乱すだけでなく、防犯や防災の観点からも問題となっています。
このコラムでは、空き家特措法の改正と民間企業が行った空き家所有者へのアンケートについて詳しく説明します。空き家所有者や関心のある読者の皆さんに、正しい情報を提供し、空き家問題を改善するための一助となることを目指しています。
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はじめに
この記事では、最新の空き家問題の現状を調査した結果や、改正空き家対策特別措置法と「管理不全空家」という概念について解説します。
空き家問題についての理解を深め、実際に空き家を所有している人、または所有する可能性のある人に役立つ情報を提供します。
調査結果の紹介
空き家が増え続ける一方で、その所有者たちは何を考え、どのような行動を取っているのでしょうか。
このセクションでは、「株式会社AS IT IS」(茨城県つくば市)が空き家所有者に対して行ったアンケート調査ご紹介します。
「約4割が売却」アンケートの調査結果
今回のアンケート調査結果の要約をご紹介します。
- 空き家を持つ人の6割以上が、3年以上空き家をそのままにしており、8割が今後もその空き家で暮らす予定はないと回答しています。
- 空き家になってからそのままにしていた理由としては、「取り壊すにもお金がかかるので先送りにしていた」「片付けが終わっていないから」「実家なので売りにくい」などがあげられています。
- 空き家について今後の予定を尋ねたところ、およそ4割が「売却(家+土地)」を予定しており、その理由は「誰も住まないのなら売却した方がお金もかからない」「自分たちには持ち家があるからもう要らない」「管理が大変で税金もかかってくるので」と回答しています。
- 一方で、空き家をリノベーションまたはリフォームして活用しようと考えている人もいます。その理由として「今の状態では住みにくい。利便性や快適性を高めたい」「貸すにも売るにもリフォームが必要」「可能であれば、利用したい」などがあげられています。
- リノベーションまたはリフォームを行う際の主な改修箇所は「トイレ」「風呂場」「キッチン」で、これらは生活の快適さに直結していると思われます。
このアンケート結果から、多くの空き家所有者は、空き家の活用法について明確な計画がないか、もしくは財政的または心理的な理由から空き家をそのままにしていることがわかります。
その一方で、空き家をリノベーションやリフォームして活用するという意識も一部に存在しています。空き家問題の解決策として、空き家を活用するためのサポートや制度、具体的な活用例の提供などが必要なのかもしれません。
改正空き家対策特別措置法
空き家問題は個々の所有者だけの問題ではなく、全社会が直面する課題となっています。
そのため、法的な対策も必要となります。このセクションでは、2023年6月に改正された「空き家対策特別措置法」の改正内容をご紹介します。
法的な枠組みを理解することで、空き家問題にどのように対応するべきか、具体的な手段を見つける助けとなることでしょう。
建築基準法違反建築物の解体命令の拡大
改正後の法律では、空き家の管理が行き届いていないと見なされ、建築基準法に違反している場合には、市町村が所有者に対して建築物の解体を命じることが可能となりました。
これは、元の法律が適用される範囲を主に「周辺住民の生命や身体を危険にさらす恐れがある建築物」に限っていたのに対し、改正法ではその適用範囲が広がったものです。
管理状況の悪い空き家の「管理不全空家」指定
「管理不全空家」という新たなカテゴリーが設けられ、自治体が改善に関する要求をできるようになりました。
詳細は次のセクションで解説します。
新たなカテゴリー「管理不全空家」の登場
改正法では、「管理不全空家」という新たなカテゴリーが設けられました。
これは、一定の基準を満たす空き家に対して、市町村が「管理不全空家」として指定し、その改善を命じることができるものです。
ここでの「一定の基準」とは、たとえば空き家が放置され、近隣に危害を及ぼす恐れがある、またはその空き家の管理状況が著しく悪い、といった状態を指します。
改市町村が「管理不全空家」を指定した場合、その所有者に対して必要な改善措置を命じることができます。
また、所有者がこれに従わない場合、市町村はその空き家を管理するために、改善措置を行ったり、必要な場合には解体することも可能となりました。そして、その費用は後から所有者に請求することができます。
5. 空き家所有者へのアドバイス
空き家所有者が直面する問題を解決するためには、まずは空き家の適切な管理とメンテナンスが不可欠です。定期的な点検や清掃などを行うことで周囲に影響を与える問題を防ぐことができます。
また、空き家を有効活用することで地域に貢献しつつ、資産価値を保持することも可能です。そして、空き家対策特別措置法を含む法律を理解し、空き家を適切な状態にしておくことがなにより重要です。
【まとめ】放置された空き家の今後。空き家対策特別措置法の改正でどうなる?
このコラムでは、民間企業の行った空き家所有者へのアンケート調査や改正空き家特措法について解説しました。特に「管理不全空家」という新たなカテゴリーの存在、それに対する行政の措置などは、所有者にとって有用な情報となることでしょう。そして、そうした情報を基に適切な対応を行うことが、空き家問題の解決への一歩となります。
空き家を所有することは負担だけではなく、適切に活用することで地域貢献や資産価値保持につながるチャンスでもあります。
空き家問題の解決は難しいですが、逆に言えば解決のための多くの可能性を秘めています。法律や制度を理解し、専門家と協力しながら、その可能性を探求していきましょう。