空き家の片付け、一体どこから手をつけたらよいのか、どう進めたら効率的なのか迷っていませんか?
本コラムでは、片付けをスムーズに進めるための心構えから、必要な道具、具体的な進め方、そして忘れてはならないチェックリストまでを詳しくご紹介します。
一歩一歩、確実に空き家の片付けを進めていきましょう。
以下は空き家の片付けについて網羅的にまとめたコラムもあります。空き家の整理・片付けについて詳しく知りたい方はこちらもぜひ御覧ください。
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【基本】まずは空き家整理の進め方を把握しよう
空き家整理のコツをご紹介する前に、まずは空き家整理の基本的な進め方を把握しておきましょう。
空き家の整理の場合、日常の掃除や整理整頓と比べて、家財の量が多いので段取り良く進めることが大切です。
以下が基本的な空き家整理の進め方になります。
- 片付けの計画を立てる(親族間の事前調整も含む)
- 家財を『不要なもの・残すもの・一旦保留するもの』に仕分ける
- 不要なものの処分・廃棄を行う
- 『保留するもの』に分別したものを保管する
- 空き家全体を掃除する
1.片付けの計画を立てる(親族間の事前調整も含む)
まずは空き家整理の計画を立てる事から始めましょう。
計画と表現すると少し大げさですが、実際に作業を始める前に決めておいたほうが良いことや、認識していたほうがトラブルを防げることなどがあります。
第一に、整理作業をどの程度の期間で完了させたいのかを明確にしましょう。短期間で終わらせたいと考えるのであれば、ある程度まとまった時間を確保して集中的に整理を進めなければいけません。
ただ、空き家の整理では、思い出の品が出てきたり、存在すら知らなかったものが出てきたりと、作業中に思わず手を止めてしまうようなこともありますので、計画どおり進まないことも考えて、余裕のある計画を立てるようにしましょう。
次に、誰がこの整理作業を担当するのかを決めることが大切です。自分だけで行うのか、それとも親族や他の相続人の協力が得られるのか、事前に確認しておくようにしましょう。
自分以外に共有者や相続人といった利害関係者がいる場合、勝手に自分一人で進めてしまうと、「あれを捨ててしまうなんて!」、「なんで勝手なことをするんだ」と後々のトラブルに繋がってしまう可能性があります。
もちろん利害関係者と調整しながら作業を進められるのが理想です。可能であれば関係者全員で話し合いを行い、全員の合意形成ができれば良いのですが、実際問題として、なかなか難しいところもあります。
もし自分だけで進めるのなら、あとから文句を言われないように、保管しておいてほしいものリストをもらっておいたり、片付けについては自分に一任してもらえるように根回ししておくようにしましょう。
できればメールやチャットなど、文字の残るやり取りをしておくと良いかもしれません。
面倒ではありますが、事前に上記の確認を行っておくことでスムーズに作業を進めることができ、無駄なトラブルも防止することができます。
2.家財を『不要なもの・残すもの・一旦保留するもの』に仕分ける
空き家の整理において、大切なことは処分するものと保管するものをスムーズに仕分けて、処分するものは速やかに処分して、とにかく物量を減らしていくことです。
片付けの基本となる『仕分け』をスムーズにするためには、『不要なもの・残すもの・一旦保留するもの』の3つのカテゴリーに分けることをお勧めします。
『保留するもの』というカテゴリーをつくっておく事ができることで、「これは残しておいたほうが良いかも…」、「これを捨てたらいつか困るかも…」といった分類しづらいものを一時的に仕分け済み状態にすることできるため、スムーズな作業に繋がります。
ただし、「一旦保留」ですので、最終的には関係者と相談し、最終的な判断を下す必要がある点には留意しておいてください。
3.不要なものの処分・廃棄を行う
仕分けが終わったものは、適切に処分していきましょう。時間はかかりますが、自治体の回収サービス(ゴミ収集)を利用したり、地域のクリーンセンターへ持ち込めば、費用をかけずに処分することができます。
自治体のゴミ収集サービスを利用する場合、当然ではありますが、ルールに則った分別をする必要があります。物が多いと、分別が雑になってしまいがちですが、しっかりと分別して、回収してもらえないようなことがおこらないように注意しましょう。
大きな家具(タンスやソファーなど)や大型家電製品(冷蔵庫や洗濯機など)は、家から搬出するのも大変ですので、ご自身で行う場合は、怪我や事故に十分気をつけて行うようにしましょう。
もし、車を所有しておらず、クリーンセンターへ持ち込む移動手段がない場合は、レンタカーを借りて自分で持ち込んだり、不用品回収業者へ依頼してまとめて持っていってもらうという方法があります。
また、捨てる以外にも知人への譲渡やリサイクルショップへの売却など、捨てるのではなく再利用してもらう形で活用していく方法もあります。
4.『保留するもの』に分別したものを保管する
仕分けの段階で「保留するもの」に分別したものは、そのままにするのではなく、「書類」、「写真」、「貴重品」という分別で一箇所に保管しておくようにしましょう。
ここまでの段階で、家の中は片付き、大きな家具なども処分されているはずですので、保管スペースも生まれていると思います。
可能であれば、『1年後までに残しておくと判断しなかった場合は処分する』と決めておくと良いでしょう。
5.空き家全体を掃除する
家財がきれいに片付いたあとは建物全体を掃除します。長期間空き家状態担っていたのであれば、かなりのホコリが溜まっている場合が多いですので、きれいに掃除するようにしましょう。
食べ物や調味料などは、必ず処分するようにしましょう。調味料などは封を切っていなくても長期間放置されるとネズミたゴキブリなどの害虫・害獣に包装ごと食べられてしまいますので注意が必要です。
空き家整理を効率よく進めるコツ
前のセクションでは、空き家の整理について、基本的な流れを説明しました。基本の流れを把握した上で、空き家整理を効率的に進めるコツをいくつかご紹介します。
【コツ1】保存しておくものの目安をつけておく
「アレとアレは必ず保管する」と決めておき、それを意識しながら仕分けをするとスムーズです。例えば、貴金属などの貴重品や不動産などの権利書など、金銭的な価値のあるものです。
その他、写真などは「●枚まで保管する」や「家族全員が写っている記念写真だけは残しておく」、逆に電化製品はすべて処分する、と決めておくことで、悩む時間を現象させ、仕分けをしやすくなります。
以下は、保管しておくべきものの一例です。
- 不動産の権利書
- 遺言書、遺書
- 通帳、印鑑、キャッシュカード
- アクセサリーなどの貴金属(18金やプラチナ、宝石など)
【コツ2】お部屋ごとに進め方を考える
空き家を片付ける際には、部屋ごとに残されている家財の傾向を把握しておくと作業がスムーズです。
たとえば、キッチンでは古い食品や調理器具の片付けがメインになりますが、リビングでは家具や雑貨の整理が中心になります。また、物置や倉庫は大量の物品が詰め込まれていることが多く、まずは大まかに判断することから始めましょう。
以下はお部屋ごとの傾向のサンプルです。
部屋 | 掃除方針 |
---|---|
寝室 | ベッドフレームやマットレスなど大型家具のほか、衣類も多い。 |
リビング | 小型家電や雑貨が中心。 |
1F洋間 | 書籍など紙類がメイン。書物机もあり。 |
キッチン | 食器や調理家電が中心。吊り戸の中には食料品や調味料も保管されている。 |
物置 | 大きい道具や古タイヤ、雑貨が多数。 |
【コツ3】各部屋ごとに作業を進める
作業を進める場合は、複数の部屋を同時進行で片付けるのではなく、1部屋づつ確実に進めていくことをお勧めします。
理由としては、1部屋片付くことで進行度合いを都度確認することができ、達成感を感じることができるからです。空き家の整理は単調な作業の繰り返しなので、達成感は空き家を片付けるうえで大変重要な要素のです。
また、片付けた部屋を一時保管のスペースとして利用することができますので、次の部屋の片付けにも役立てることができます。
【コツ4】空き家に残されたものを分別する際のコツ
空き家の片付けで大切なことの一つが、適切な分類・分別です。大量にものが残されている場合、じっくりと作業を進めていてはなかなか前に進みません。まずは大雑把に分類するなど、ある程度スピード重視でパパっと進めることも重要です。以下に分類・分別のコツをいくつか紹介します。
分類をする際は、まずは、大まかなカテゴリーに分けてみましょう。例えば、家具、衣類、書籍、家電などに分けると良いでしょう。「残すかもの・一旦保留にするもの・処分するもの」に分類するのは後でまとめて行ったほうが時間を短縮することができます。
空き家整理の前に準備すること
以下に、空き家の片付けに必要になる基本的な掃除用具をご紹介します。
掃除用具 | 用途 |
---|---|
掃除機 | 床やカーペットの清掃 |
ブラシ | 狭い隙間や特殊な汚れを落とすため |
雑巾 | 床や家具の拭き掃除 |
ゴム手袋 | 汚れたものを触ったり、掃除をする際 |
ゴミ袋 | 不要物を収集するため |
ダンボール | 保管するものや一時保管するものを入れる |
ガムテープ | ダンボールに封をする |
片付け作業では、大量のゴミが出ます。その際、予めゴミ袋をカテゴリーごとに用意し、ゴミを分けて捨てることを心がけましょう。例えば、「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「資源ごみ」「大型ゴミ」など、自治体のルールに合わせてゴミ袋を準備し、手元で分別が完結するように心がけましょう。
整理後の空き家を維持していくには
住宅は利用する人がいない状態で長期間放置してしまうと、急激に老朽化していってしまします。空き家を整理したあとも、その空き家を維持していくためには、適切な管理をしていく必要があります。
具体的な空き家の適切な管理の具体例を以下に挙げます。
- 定期的に空き家を確認し、破損や劣化が発生していないか確認
- 定期的に通気・換気を行う
- 定期的に水道を使用する
- 定期的に庭木の手入れを行う
- 固定資産税・都市計画税などはしっかりと納税する
- 火災保険に加入する
空き家の維持管理が負担に思えてきたり、維持費用の負担が困難になった場合は、その不動産の利活用を考えるタイミングかもしれません。
専門業者を利用するものあり?判断基準
さて、ここまで空き家の片付けについて解説してきました。空き家の片付けは決して難しい作業ではないですが、作業量が多く、挫折してしまうことも多いというのが現実です。
一般的には専門業者に作業を依頼してしまうケースが多く、ご自身で最後まで片付けられるというのは稀なケースです。ただ、業者に依頼するにはそれなりの金額が必要ですので、できることなら自分で片付けたいもの…。
このセクションではご自身で無理なく片付けられる作業量について解説します。
自分で片付けられる場合
詳しい状況にもよりますが、以下のような場合、ご自身での片付けが可能なケースが多いです。
- 家が広くない(~2LDK)
- すでに生前整理がされており、残された物がかなり少ない
- 普段から体を使う仕事をしている
- ゴミ屋敷状態(ゴミで床が見えない、など)ではない
空き家整理業者に依頼することのメリット・デメリット
ご自身での片付けが難しい場合、専門業者に依頼するのが一番簡単な方法です。まずは専門業者に依頼することのメリット・デメリットを確認しておきましょう。
空き家の片付け業者を利用するメリット
利点 | 説明 |
---|---|
時間の節約 | 専門業者は作業の効率化に長けています。自分で行うよりもスピーディに、そして丁寧に作業を進めてくれます。 |
安全性の確保 | 専門的な知識と経験を持つプロならではの安全対策を取ってくれます。自分一人で行うよりも、怪我のリスクを大きく減らすことが可能です。 |
適切な廃棄物処分 | プロの業者は、廃棄物の処分方法についての法律やルールを把握しています。適切な処理を行ってくれるため、安心して任せることができます。 |
アフターフォロー | 専門業者は作業後のアフターフォローも行ってくれます。トラブルが発生した際の対応も安心できます。 |
空き家の片付け業者を利用するデメリット
注意点 | 説明 |
---|---|
費用 | 専門業者に依頼すると費用がかかります。自分で行う場合に比べて、その分コストが上がることを考慮する必要があります。 |
プライバシー | 他人に自宅を見せるということは、ある程度のプライバシーの侵害を伴います。自宅の中に個人的物品が多い場合は、それらをどのように扱うかを事前に相談する必要があります。 |
業者選び | 信頼性のある良質な業者を見つけるのは難しいかもしれません。悪質な業者に遭遇しないためにも、選び方には十分注意が必要です。 |
業者に依頼する場合にかかる費用
空き家の整理を業者に依頼する場合、空き家の状況や依頼する業者によって、費用は大きく異なることが一般的です。
できるだけ費用を抑えたいのであれば、必ず複数社に見積もり依頼をするようにしましょう。ただし、金額だけで業者を選ぶのは厳禁です。担当者と話した感じやその業者が信頼できるかどうか等、総合的に判断するようにしましょう。
以下、空き家の整理にかかる費用の目安になります。
- 1R:10万円前半程度(+-5万円程度)
- ~1LDK:20万円前半(+-5万円程度)
- ~2LDK:25万~30万円前半(+-5万円程度)
- ~3LDK:30万~40万円程度(+-10万程度)
- 4LDK~:50万~60万円程度(+-10万程度)
空き家の片付けを自分で進めるためのチェックリスト
チェックリストは、何をしたらいいのか、何を忘れていないかを確認するのに非常に便利です。このセクションでは、事前の準備から作業進行、そして最終確認までを含むチェックリストをご紹介します。これを元に、自分で進める空き家の片付けを確実に行いましょう。
以上のチェックリストに沿って、計画的に進めていくことで、無理なく、かつ効率的に空き家の片付けを進めることができます。
特に、事前準備の徹底や作業進行中の定期的な休憩は疲労を蓄積させず、作業効率を上げる上で重要です。また、作業が完了した後の最終確認は、何も忘れていないか、適切な処理が行われたかを確認する上で必須のステップとなります。
これらのチェックリストを活用し、計画的かつ効率的に空き家の片付けを進めましょう。
【まとめ】空き家の整理・片付けを自分で進めるために
今回、自分で空き家の片付けを行うための具体的な手順とポイントについて解説しました。これらのポイントを活用し、空き家の片付けを自分で行う挑戦に臨んでください。安全に、そして効率的に片付け作業を進めてみてください。