あなたの実家は今、どうなっていますか?
長い間住んでいない、あるいは誰も住む人がいなくなったって時間が経っているという状況にある方も多いのではないでしょうか。
いつかは『実家じまい』という選択をする必要があるとはわかっているがなかなか行動に移せない、実家じまいとは具体的にどういうことなのか、どんな課題があるのか、またどのように進めていくべきなのか、悩む方も多いですよね。
このコラムは、実家じまいの全体像を解説し、成功へと導くための完全ガイドです。あなたの実家じまいがスムーズに進むように、ぜひ参考にしてください。
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実家じまいとは何か
「実家じまい」はご存知ですか?この言葉を耳にしたことがあるけれど、その具体的な意味や、家じまいとの違いがよくわからないという方も多いでしょう。
このセクションでは、実家じまいの本質を理解することから始めます。しっかりと定義を理解して、実家じまいの全体像を掴みましょう。
実家じまいの定義
実家じまいとは、一般的には、親や家族が住んでいた実家を売却、もしくは処分することを指します。親が亡くなったり、介護施設に移ったりした場合、その空き家となった実家をどうするかを決めるのが実家じまいの主な目的です。
具体的には、実家じまいの過程には以下のようなステップが含まれます。
- 家の中の荷物をすべて整理し、不要なものを捨てる
- 家や土地を売却するための手続きを進める
- 家の清掃やリフォームを行い、売却に向けて整える
以上のような手順を踏み、実家の扱いを決定し、最終的に空き家をなくすことが、実家じまいの主な作業となります。
実家じまいと家じまいの違い
実家じまいと家じまいの大きな違いは、“誰のために” “どの家を” 処分するか、という点にあります。
家じまいは、一般的に自分自身や自身の家族が住んでいた家を引き払い、新しい家に移ることを指します。ここでの主な目的は、新しい住まいでの生活をスムーズに開始するために、古い家をきちんと整理し、必要なものだけを新しい家に持っていくことです。
一方で、実家じまいは、自分が育った実家や親が住んでいた家を売却または処分する行為を指します。主な目的は、親が亡くなったり、別の場所に移ったりした場合に、その家をどう扱うかを決定することです。
したがって、主体や目的が異なるため、それぞれの過程でも違いが見られます。家じまいでは自身の生活の移行が主な目的となりますが、実家じまいでは家や土地の処分、相続や税金の問題など、より複雑な課題を抱えていることが多いです。
実家じまい | 家じまい | |
---|---|---|
主体 | 実家の子供たちや親族 | 自分自身や自身の家族 |
対象の家 | 親や家族が住んでいた実家 | 自身や家族が住んでいた家 |
目的 | 親が亡くなったり、別の場所に移った後の実家の扱いを決める | 新しい住まいへの生活の移行 |
主な課題 | 家や土地の処分、相続、税金等の問題 | 古い家の整理と新しい家への移行 |
実家じまいを決断するきっかけ
「実家じまいを始めるには、何がきっかけとなるのか」、「いつから始めるべきなのか」。
そんな疑問をお持ちの方もいるかと思います。
このセクションでは、実家じまいを決断する主な理由やきっかけについて詳しく解説します。あなた自身の状況を見つめ直し、実家じまいが必要かどうか再確認してみましょう。
住む人がいなくなったとき
最も多い実家じまいを検討する機会は「住む人がいなくなったとき」です。
これは、その家が今後利用されることもなく、単に老朽化していくだけであるためです。
具体的には、家が使用されていないと、いくつかの問題が生じます。
まず、家が放置されていると自然と劣化していき、最終的には大規模な修繕が必要になる可能性があります。これには大きな費用がかかるため、早めに処分することを検討するべきです。
また、使用されていない家は盗難や不法占拠のリスクが高まります。
空き家は不審者が集まる場所になる可能性もあり、地域の治安を悪化させる要因にもなります。これらの問題を防ぐためにも、早めに家を処分することが重要となります。
さらに、家を維持するためには、定期的な清掃やメンテナンスが必要です。
これには時間と労力がかかり、特に遠方に住んでいる場合は大きな負担となります。このような状況を考えると、住む人がいなくなったら実家じまいを真剣に考え始めるべきです。
空き家の問題については政府広報オンラインでも紹介されています。
税金や維持費の問題があるとき
税金や維持費の負担が重くなった場合、実家じまいを考えるべきタイミングです。
これらの出費は無視できない大きな負担となり、不要な費用を削減するための一つの解決策となります。
具体的には、不動産には固定資産税が発生します。この税金は、家や土地を所有している限り毎年支払う必要があります。また、家が古くなると修繕費も増えていきます。特に、大きな修繕が必要となるとその費用は莫大なものになることがあります。
さらに、空き家になった家は、風雨や老朽化による損傷、侵入者による損害など、さまざまなリスクが高まります。これにより、予想外
の出費が発生することもあります。これらのリスクを避けるためにも、無駄な出費を削減するためにも、実家じまいを検討することが重要となります。
また、一定の維持管理が必要となるのも、実家を維持するコストの一部です。
例えば、草刈り、通風・通光のための定期的な開放、防犯対策など、空き家でも必要な作業があります。これらも、遠方に住んでいる場合などは、時間的・経済的な負担となります。
以上のように、税金や維持費の問題があるときは、実家じまいを考えるべき時期と言えるでしょう。適切なタイミングで家を処分し、余計なコストを抑えることで、その後の生活をより快適にすることが可能です。
以下は、維持に関するコストの一覧表となります。
費用の種類 | 概要 |
---|---|
固定資産税 | 家や土地を所有している限り毎年支払う必要があります。計算方法は所有している不動産の価格、面積、地域などによって異なります。 |
都市計画税 | 固定資産税と同様に、不動産を所有している限り毎年支払う必要があります。固定資産税と合わせて考えると、かなりの額になることがあります。 |
修繕費 | 家が古くなると修繕が必要になります。特に大きな修繕が必要となるとその費用は莫大なものになることがあります。 |
維持管理費 | 草刈り、通風・通光のための定期的な開放、防犯対策など空き家でも必要な作業があります。これらも時間的・経済的な負担となります。 |
保険料 | 火災保険などの保険料も考慮に入れるべきです。保険料は保険会社やプランによりますが、これも一定の出費となります。 |
突発的な出費 | 風雨や老朽化による損傷、侵入者による損害など、予期せぬ出費が発生することもあります。 |
実家じまいの大変さと問題点
実家じまいは、決して簡単な作業ではありません。
物理的な問題だけでなく、心情的な問題も大きな課題となります。このセクションでは、実家じまいの大変さや具体的な問題点を深掘りします。これらの問題を理解し、対策を練ることで、スムーズな実家じまいにつなげましょう。
物理的な課題
物理的な課題としては、まず空き家の中に残された一切の家財の物量が挙げられます。その他、不動産など、流動性が低異可能性のある資産の処分なども課題になってきます。
大量の家財を処分すること
実家じまいにおいて最も大きな物理的な課題は、大量の家財や不用品を処分することです。
多くの場合、長年の間に蓄積した家具、電化製品、書籍、衣類、食器など、処分しきれないほどのアイテムが存在します。
これら全てを適切に処分するには、大量の手間と時間がかかります。また、一部のアイテムは適切な処分法が必要で、それがないと法的な問題を引き起こす可能性もあります。
家や土地がなかなか売れないこと
家や土地自体の売却も容易ではありません。
不動産市場の状況や物件の状態、立地条件などにより、売却には時間がかかることが一般的です。さらに、売却に至るまでの手続きも複雑であり、専門的な知識が必要となるため、それらを習得するのも一苦労です。
時間とお金がかかること
実家じまいは、時間とお金が大量に必要となる作業です。
処分作業や清掃、修繕、引っ越し、不動産の売却など、多くの作業が必要で、それぞれにコストと時間がかかります。
これらの作業を一人で行うのは大変困難であり、専門的なサービスを利用することが多いですが、それらもそれなりの費用がかかります。
心理的な課題
実家じまいへのハードルは物理的なものにとどまりません。物理的なハードルに心理的なハードルも合わさることから、多くの方が実家じまいを困難に感じているという現実があるのです。
実家がなくなる寂しさ
実家を手放す際、一番大きな心理的な課題は、「実家がなくなる寂しさ」です。家は単に生活の場ではなく、そこには数多くの思い出が詰まっています。したがって、実家を手放すという行為は、それらの思い出との一部の別れでもあります。
例えば、子供時代に過ごした部屋や親と過ごしたリビング、特別なイベントがあった庭など、それぞれの場所には特定の思い出が連なっています。これらの場所が物理的に存在しなくなることで、それらの思い出も遠いものになってしまうことを感じるかもしれません。
思い入れがあるものの処分
次に、実家じまいでは大量の物品の整理が必要となりますが、その中には思い出深いものや愛着のあるものも多く含まれています。それらを処分することは、心理的な負担が非常に大きいです。
家族の形見であったり、子供時代のおもちゃ、卒業アルバム、手紙など、多くの物には特別な思い入れがあります。それらを手放すというのは、それらの思い出を直接捨てるような気持ちになることもあります。
途方に暮れるほどの作業量
実家じまいの作業量自体が圧倒的で、それに途方に暮れることも一つの心理的な課題です。
物品の整理から、不動産の売却、引っ越しまで、手続きの多さと複雑さに圧倒され、どこから手をつけて良いかわからないと感じることは少なくありません。
その結果、心理的なストレスが蓄積し、感情的になりやすい状態になることもあります。このような時期は、感情的な判断を避け、冷静に考えることが重要となります。また、専門家に助けを求めるのも一つの手段となります。
実家じまいの具体的な手順と流れ
「実家じまいをするべきだとわかったけど、具体的にどう進めていけばいいの?」と思う方も多いでしょう。
このセクションでは、実家じまいの具体的な手順や流れ、さらには必要な資源や費用についても詳しくご紹介します。一歩ずつ、しっかりと進めていきましょう。
実家じまいにかかる期間とスケジュール
実家じまいには数か月から1年以上の時間が必要となることが一般的です。この時間は、物の整理から家の売却、新しい生活環境の整備まで全てのプロセスを含みます。
具体的なスケジュールとしては以下のような流れになります。
1. 実家の物品の整理
これは一番時間がかかる部分で、1〜3か月程度かかることが一般的です。この間に、不要な物の処分や貴重な物の保管、遺品の整理などを行います。
2. 家の売却
実家の売却もまた時間がかかる部分で、不動産会社を通じて家を売却する場合、数か月から半年程度は見ておくと良いでしょう。
3. 新しい生活環境の整備
売却後、新しい生活環境の整備も必要です。新居の準備や、実家で必要となる物の移動なども含まれます。
実家の処分にかかる費用と資源
実家の処分には様々な費用が発生します。具体的な費用は以下の通りです。
1. 不用品の処分費用
これは、ゴミの処分費用や遺品整理の費用などを含みます。この費用は、ゴミの量や遺品整理の規模によりますが、数万円から数十万円程度が一般的です。
2. 不動産の売却費用
不動産会社を通じて家を売却する場合、その手数料も必要となります。これは売却価格の数パーセント程度が目安となります。
3. 新居の準備費用
新居の準備にも費用が必要です。これは新居の家賃や物件購入費用、引っ越し費用などを含みます。
実家じまいチェックリストと最適な進行の順序
実家じまいの進行順序は、先に述べたスケジュール通りになることが一般的ですが、より詳細なチェックリストを作成することでスムーズに進行することが可能です。
1. 物品の整理
部屋ごとに、必要なものと不必要なものを分けます。不要なものはさらに、売却、寄付、リサイクル、ゴミとして処分するなどのカテゴリに分けます。また、重要な書類や思い出の品もしっかりと保管します。
2. 家の清掃
不要な物を全て処分したら、家全体を清掃します。このとき、修繕が必要な箇所がないかも確認します。
3. 家の売却
不動産業者と相談し、売却価格や売却方法を決定します。家の売却は時間がかかるため、早めに手続きを始めることをお勧めします。
4. 新しい生活環境の準備
新居の準備を始めます。新居で必要な物の移動、新たに必要な家具や家電の購入などを行います。
5. 実家の完全引き渡し
最終的に、実家の鍵を新しい所有者または不動産業者に引き渡します。この時点で実家じまいは完了となります。
以上の流れを参考に、具体的なスケジュールを作成すると良いでしょう。また、費用や必要な手続きなどもリスト化し、進行状況を把握しながら進めていくとスムーズに実家じまいを進めることができます。
実家を空き家にしておく問題点
「実家じまいをするのではなく、とりあえずそのままにしておく」と考える方もいるでしょう。
しかし、それには様々な問題がつきものです。このセクションでは、実家を空き家にしておくことの問題点を検討します。それを理解することで、実家じまいの意義を再認識しましょう。
税金や管理・補修費用などの無駄な出費
空き家は手をつけない限り維持費や税金がかかり続けるため、無駄な出費につながります。
特に日本の空き家問題は深刻で、家屋が長期間放置されることで、固定資産税が倍加するケースもあります。これに加えて、雨漏りなどの修繕が必要になると、さらなる出費が発生します。また、庭の手入れなど日々の維持管理費も無視できません。
税金のの具体例としては、毎年の固定資産税、水道基本料金、市民税、都市計画税などがあります。これらは所有者の責任であり、空き家にしているだけで出費が発生してしまうのです。
安全面でのリスク
安全面においても、空き家は多くのリスクを抱えています。その最たるものが、火災や自然災害による被害です。特に空き家の場合、誰もがそこに住んでいないため、異常をいち早く察知することが難しく、発見が遅れると大きな被害につながります。
例えば、電気のスイッチが入ったままになっていたり、ガスの元栓が閉じられていない場合、火災の原因となります。また、台風や地震などの自然災害が発生した場合、壊れた窓ガラスや飛散した屋根瓦が近隣に危害を及ぼす可能性もあります。
自然に劣化すること
長期間放置されることによる建物自体の劣化も避けられません。空き家は使用されていないため、通常よりも早く老朽化します。壁紙の剥がれ、床の腐朽、水回りの劣化などは、修繕に大きな費用がかかるだけでなく、再利用や売却時の評価額を大きく下げてしまう要因にもなります。
特に日本の湿度の高い気候条件下では、カビや虫害が進行しやすいため、さらに早い劣化を招きます。
他人に不法占拠される可能性
空き家は他人に不法占拠されるリスクも存在します。所有者が不在の空き家は、ホームレスの人々や不法滞在者に利用されやすく、このような状況が長期化すると所有権を主張される可能性すらあります。また、近隣の迷惑となることも多く、トラブルを生む原因となり得ます。
具体的には、誰かが勝手に住み始めると、その人を退去させるためには裁判を起こすなどの手続きが必要になることがあります。これには時間と費用がかかります。また、不法占拠者がゴミを出したり、騒音を出したりすることで、近隣住民からクレームが来ることもあります。
以上のように、空き家には経済的な負担だけでなく、安全面でのリスクや自然劣化、他人による不法占拠といった問題が伴います。
これらを考慮すると、可能な限り早い段階での「実家じまい」が、結局のところ所有者自身の利益につながると言えるでしょう。
実家じまいの成功の秘訣: 専門家へ依頼することを検討
実家じまいは一人では難しい作業です。そこで、プロの手を借りることが一つの解決策となります。
このセクションでは、プロを利用するメリットとデメリット、そして選び方についてご紹介します。専門家の力を借りて、無理なく実家じまいを進めていきましょう。
プロに依頼するメリットとデメリット
実家じまいを成功させるためには、プロの力を借りることが一つの有効な手段です。
プロに依頼することは時間の節約、質の確保、心理的な負担の軽減などのメリットがありますが、一方で費用の問題やプライバシーの確保などのデメリットも存在します。
プロに依頼する最大のメリットは時間の節約です。
プロの業者には経験とノウハウがあり、自分でやるよりもスムーズに進行できます。また、片付けや処分に慣れていない人が行うと見落としがちな点もプロなら把握でき、質の高い実家じまいが可能となります。
さらに、実家じまいは心理的な負担も大きいです。プロに依頼することで、自分が直面する心理的な負担を軽減できます。
ただし、デメリットも無視できません。最も大きな問題点は費用です。プロに依頼するとそれなりの費用が発生します。また、プロに家の中を見られることに抵抗感を感じる人もいるでしょう。
以下に専門業者に依頼した際のメリット・デメリットの比較表を掲載します。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
専門業者に依頼した場合 | 1.時間の節約 2.高品質なサービス 3.心理的負担の軽減 | 1.費用がかかる 2.プライバシーの問題 |
プロを選ぶための基準
プロを選ぶ際の基準としては、以下の点を考慮すると良いでしょう。
選定基準 | 内容 |
---|---|
実績と経験 | これまでにどれだけの実家じまいを手掛けてきたか、その結果はどうだったのかを見ると良いです。 |
費用 | 料金体系は明確であるか、見積もりは無料で出してくれるのかを確認しましょう。 |
サービスの範囲 | 片付けだけでなく、買取りやリサイクル、不用品の処分まで一貫して行ってくれる業者を選ぶとスムーズです。 |
レビューと評判 | 口コミや評価はどうか、他の顧客からのフィードバックを確認すると参考になります。 |
【まとめ】実家じまい完全ガイド
実家じまいは課題が多いですが、その課題を理解し、適切な手順で対応することでスムーズに進行することが可能です。
一番の課題は、誰も住まなくなった家の税金や維持費の問題です。これらの問題は、家や土地を早期に売却し、不要な出費を削減することで解決できます。
また、物理的な課題として、全ての物を処分することや、家や土地がなかなか売れないこと、そしてそれらに時間とお金がかかることもあります。感情的な課題としては、実家がなくなる寂しさや思い入れのあるものを処分する心理的な負担もありま
このような課題を乗り越えるためには、実家じまいにかかる期間とスケジュールを立て、適切な費用と資源を計画し、必要な作業項目をリスト化することが有効です。
また、プロに依頼することで時間の節約、質の確保、心理的負担の軽減などのメリットが得られますが、一方で費用やプライバシーの問題も考慮する必要があります。
それぞれの状況に合わせた最善の選択をすることが大切です。きちんと計画を立て、必要ならプロの力を借りて、心に余裕を持って実家じまいを進めることが、あなた自身と家族のためにも最善の策と言えるでしょう。