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【少子高齢化だけじゃない】空き家が増える理由を考える

【少子高齢化だけじゃない】空き家が増える理由を考える

日本における空き家問題は、人口減少や高齢化、住宅の老朽化、相続問題、地方経済の衰退など、様々な要因が複雑に絡み合って発生しています。

空き家の増加は、地域の住環境や景観の悪化、治安の低下、自治体の財政負担など、様々な悪影響をもたらします。その一方で、空き家対策を進める上では、住宅政策の課題や税制の在り方など、解決すべき問題も山積みです。

本コラムでは、空き家が増える主な原因をリストアップしました。

空き家問題は、人口減少や高齢化、住宅の老朽化、相続問題、地方経済の衰退など、様々な要因が複雑に絡み合って発生しています。

人口減少と高齢化が招く空き家問題の深刻化

日本における人口減少と高齢化は、近年の空き家問題を深刻化させる大きな要因となっています。

少子化の進行により、住宅の需要が減少する一方で、高齢者の単身世帯が増加し、住宅の空き家化が進んでいます。さらに、介護施設への入所や死亡による空き家の発生も無視できない問題となっています。

少子化が進行し、空き家が増える

少子化の進行は、日本の人口構造に大きな変化をもたらし、空き家問題に直結しています。出生率の低下と若年人口の減少により、住宅需要が減退し、空き家の増加につながっているのです。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の総人口は2053年には1億人を下回り、2065年には9,000万人を割り込むと予測されています。この人口減少は、特に地方部において顕著であり、住宅の空き家化を加速させる要因となっています。

少子化の影響は、新築住宅の着工数にも表れています。国土交通省の資料によれば、新設住宅着工戸数は1996年のピーク時には約164万戸でしたが、2020年には約81万戸にまで減少しました。人口減少社会における住宅需要の低下は、空き家の増加に直結する問題なのです。

さらに、少子化は高齢者世帯の増加とも関連しています。子どもの数が減少することで、親世代の住宅が将来的に空き家になるリスクが高まります。実際に、高齢者の単身世帯が増加傾向にあり、その多くが将来的に空き家になる可能性を抱えているのです。

少子化が進行する日本において、空き家問題は今後さらに深刻化することが予想されます。人口減少社会に適応した住宅政策の推進と、空き家の適正管理・活用の促進が求められる時代になったと言えるでしょう。

高齢者の単身世帯増加が空き家問題に拍車をかける

高齢化の進展に伴い、高齢者の単身世帯が増加傾向にあることも、空き家問題に拍車をかける要因の一つです。総務省の国勢調査によると、65歳以上の単身世帯は2015年時点で約592万世帯に達し、1995年の約287万世帯から大幅に増加しました。

高齢者の単身世帯増加は、配偶者の死去や子どもの独立などが主な要因です。単身高齢者が住む住宅は、将来的に空き家になるリスクが高くなります。加えて、高齢者の単身世帯は、住宅の管理や維持に困難を抱える場合が多く、空き家の発生につながる可能性があります。

また、高齢者の単身世帯増加は、地方部における空き家問題をさらに深刻化させる傾向にあります。若年層の都市部への流出により、地方部では高齢化が急速に進行しています。

単身高齢者が住む住宅が空き家になった場合、地方部では需要が少ないため、その活用や解消が難しくなるのです。

高齢者の単身世帯増加に対応するためには、高齢者の住まいの確保と同時に、将来的な空き家の発生を防ぐ取り組みが必要不可欠です。

住宅の適切な管理・維持を支援する制度の整備や、高齢者の見守りネットワークの構築などが求められます。さらに、空き家の発生を未然に防ぐためには、高齢者の住み替えや同居を促進する施策も重要になるでしょう。

介護施設への入所や死亡が空き家を増やす

高齢者の増加に伴い、介護施設への入所や死亡による空き家の発生も無視できない問題となっています。要介護高齢者の増加により、介護施設への入所者数は年々増加傾向にあり、その結果、高齢者の自宅が空き家になるケースが増えているのです。

厚生労働省の調査によると、2020年の介護保険施設の利用者数は約86万人に上ります。介護施設への入所は、高齢者の住宅を空き家にする直接的な要因の一つです。さらに、入所後に高齢者が死亡した場合、その住宅が長期的な空き家になるリスクも高くなります。

また、在宅で介護を受けていた高齢者の死亡も、空き家の発生につながる要因です。特に、単身高齢者や高齢者のみの世帯では、死亡後に住宅が空き家になる可能性が高くなります。相続人の不在や相続放棄、管理コストの増大などの問題が絡み合い、空き家の長期化や放置につながるケースも少なくありません。

老朽化する住宅が空き家問題を深刻化

住宅の老朽化は、空き家問題を深刻化させる大きな要因の一つです。

住宅の老朽化が空き家問題に与える影響は、地方部において特に深刻です。人口減少や高齢化が進行する地方部では、住宅需要が減退し、老朽化した空き家の活用や解体が進まない状況にあります。

建物の経年劣化が空き家を増やす原因の一つ

建物の経年劣化は、空き家の増加に直結する大きな問題の一つです。住宅は建築後、年数の経過とともに構造体や設備の劣化が進行します。適切な維持管理や改修が行われない場合、住宅の安全性や居住性が低下し、空き家になるリスクが高まるのです。

国土交通省の調査では、空き家の約70%が築30年以上の住宅であることが明らかになっています。これらの住宅では、屋根や外壁の劣化、設備の故障などが進行し、修繕や改修に多額の費用が必要となります。経済的な負担の大きさから、所有者が適切な管理を行えず、空き家の放置につながるケースが少なくありません。

また、建物の経年劣化は、空き家の長期化にも影響を及ぼします。劣化が進んだ空き家は、売却や賃貸が難しくなり、長期間にわたって放置される傾向にあります。その結果、周辺の住環境や景観に悪影響を与え、地域の活力を低下させる要因になるのです。

改修・建て替えコストの増大が空き家の放置を招く

老朽化した住宅の改修や建て替えには、多額の費用が必要となります。これらのコストの増大が、空き家の放置を招く大きな要因の一つとなっています。

国土交通省の試算によると、木造住宅の場合、築40年で建て替えが必要になるとされています。しかし、建て替えには1,000万円以上の費用がかかるため、経済的な負担から建て替えを断念せざるを得ない所有者も少なくありません。また、改修工事にも数百万円の費用が必要となるため、適切な維持管理が行われず、空き家の放置につながるケースが増えているのです。

特に、高齢者世帯や低所得者層にとって、改修や建て替えのコストは大きな負担となります。年金収入のみで生活する高齢者や、経済的に困窮する世帯では、住宅の維持管理に十分な資金を割くことが難しい状況にあります。その結果、空き家の放置や長期化が進み、地域の住環境や景観に悪影響を及ぼすことになります。

耐震性の不足が空き家の解消を阻む

建物の耐震性の不足は、空き家問題の解消を阻む大きな障壁の一つです。特に、高度経済成長期に建設された住宅の多くは、現在の耐震基準を満たしておらず、地震などの災害時に倒壊する危険性が高くなっています。

総務省の調査によると、2018年時点で全国の空き家のうち、約28%が昭和56年以前に建築された住宅でした。これらの住宅は、現行の耐震基準を満たしていない可能性が高く、大規模な地震が発生した場合、倒壊や損傷のリスクが高まります。耐震性の不足は、空き家の安全性を脅かすだけでなく、周辺の住宅や住民にも危険をもたらす恐れがあるのです。

また、耐震性の不足は、空き家の活用や解消を難しくする要因にもなります。耐震改修には多額の費用がかかるため、所有者が改修を断念したり、売却や賃貸が困難になったりするケースが少なくありません。その結果、空き家の長期化や放置が進み、地域の住環境や景観に悪影響を及ぼすことになります。

相続問題と管理不全が空き家を増やす

相続問題と管理不全は、空き家の増加と長期化に大きな影響を及ぼす要因です。

親世代の死亡に伴う相続の発生や、相続人の不在、管理コストの増大などが絡み合い、空き家問題を深刻化させているのです。

相続人の不在や相続放棄が空き家問題の一因

相続人の不在や相続放棄は、空き家問題の深刻化に直結する大きな要因の一つです。所有者の死亡後、相続人が存在しない場合や、相続人が相続を放棄した場合、空き家の管理や活用が滞り、長期的な放置につながるのです。

国土交通省の調査によると、2018年時点で全国の空き家のうち、約9%が「その他の住宅」に分類されています。これらの住宅の多くは、所有者が不明であったり、相続人が存在しなかったりするケースが含まれていると考えられます。相続人の不在や相続放棄により、空き家の所有者が不明になると、適切な管理や活用が行われず、住宅の老朽化や周辺環境への悪影響が深刻化します。

また、相続放棄された空き家は、固定資産税の滞納につながるケースも少なくありません。相続人が税金の支払いを拒否したり、納税義務者が不明になったりすることで、自治体の税収が減少し、空き家対策の財源確保が困難になる恐れがあります。

相続人間の意見の相違が空き家の管理を困難にする

相続が発生した住宅では、相続人間の意見の相違が空き家の管理や活用を困難にするケースが少なくありません。相続人が複数存在する場合、住宅の利用方法や管理方針をめぐって対立が生じ、適切な管理が行われなくなる恐れがあります。

例えば、ある相続人が住宅の売却を望む一方で、別の相続人が賃貸での活用を主張するといった場合、合意形成が難航し、空き家の放置につながることがあります。また、相続人の一部が遠方に居住していたり、関心が低かったりする場合、管理の責任を押し付け合うことで、空き家の管理不全が進行するケースもあります。

さらに、相続人間の対立は、空き家の活用や解消を阻む大きな障壁にもなり得ます。売却や賃貸、除却などの方針について合意が得られない場合、空き家の長期化や周辺環境への悪影響が深刻化する恐れがあります。

管理コストの負担増が空き家の放置を招く

空き家の管理には、固定資産税や維持修繕費など、多くのコストがかかります。これらの管理コストの負担増が、空き家の放置を招く大きな要因の一つとなっています。

特に、相続が発生した住宅では、相続税の支払いが大きな経済的負担となります。相続税の課税対象となる不動産の評価額は、近年、上昇傾向にあり、相続人にとって重荷となるケースが増えています。さらに、空き家の維持管理に必要な費用も年々増加しており、所有者の経済的な負担を増大させています。

こうした管理コストの増大は、所有者の管理意欲を低下させ、空き家の放置につながる恐れがあります。特に、高齢者世帯や低所得者層にとって、管理コストの負担は大きな障壁となります。年金収入のみで生活する高齢者や、経済的に困窮する世帯では、空き家の管理に十分な資金を割くことが難しい状況にあるのです。

地方の経済衰退が空き家問題に拍車をかける

地方の経済衰退は、空き家問題に拍車をかける大きな要因の一つです。

人口減少や高齢化が進行する地方部では、産業の衰退や雇用の減少により、若者の流出が加速しています。これらの社会経済的な変化が、地方の空き家問題を深刻化させているのです。

若者の都市部への流出が地方の空き家を増やす

地方部では、若者の都市部への流出が空き家問題を深刻化させる大きな要因の一つとなっています。就職や進学を機に、多くの若者が地方から都市部へと移動しています。この若年層の流出は、地方の人口減少を加速させ、住宅需要の減退につながっているのです。

総務省の調査によると、2019年の東京圏への転入超過数は約13万人に上ります。その多くは、20代から30代前半の若年層が占めています。地方部では、こうした若者の流出により、住宅の購入者や賃借人が減少し、空き家の増加につながっています。

また、若者の流出は、地方の高齢化を加速させる要因にもなります。若年層の減少により、高齢者の割合が増加し、単身高齢者世帯や高齢夫婦世帯が増えています。これらの世帯では、住宅の管理や維持が困難になるケースが多く、将来的な空き家の増加が懸念されます。

地方の空き家問題は需要減少が原因の一つ

地方部における空き家問題は、需要の減少が大きな原因の一つとなっています。人口減少や高齢化、産業の衰退などにより、地方の住宅需要は年々減少傾向にあります。この需要の減退が、空き家の増加や長期化につながっているのです。

国土交通省の調査によると、地方部の空き家率は、大都市圏に比べて高い傾向にあります。特に、人口5万人未満の市区町村では、空き家率が20%を超える地域も少なくありません。こうした地域では、若者の流出や高齢化が進行し、住宅の購入者や賃借人が減少しています。

また、地方の住宅需要の減少は、空き家の売却や賃貸を困難にする要因にもなっています。需要が少ない地域では、空き家の価格が低下し、売却までに長い期間を要するケースが増えています。賃貸需要も限定的であるため、所有者が賃貸収入を得ることが難しい状況にあります。

住宅政策が空き家問題の解消を阻む

日本の住宅政策は、これまで新築住宅の供給を重視する傾向にありました。しかし、この新築重視の政策が、空き家問題の解消を阻む要因の一つとなっています。中古住宅の流通促進や空き家の活用が十分に進まない現状は、住宅政策の課題を浮き彫りにしているのです。

新築住宅重視の政策が中古住宅の活用を妨げる

日本の住宅政策は、長らく新築住宅の供給を重視してきました。住宅金融支援機構による融資制度や、住宅ローン減税などの税制優遇措置は、主に新築住宅の取得を対象としてきました。この新築重視の政策が、中古住宅の活用を妨げる要因の一つとなっています。

新築住宅を優遇する政策は、中古住宅の購入や改修に対する需要を抑制する恐れがあります。新築住宅の方が融資を受けやすく、税制上の恩恵も大きいため、消費者は新築住宅の取得を選択する傾向にあります。その結果、中古住宅の流通が停滞し、空き家の増加につながっているのです。

また、新築住宅重視の政策は、住宅の長寿命化を阻む要因にもなり得ます。新築住宅の供給を優先することで、既存住宅の維持管理や改修が十分に行われない恐れがあります。住宅の寿命が短くなることで、空き家の発生を加速させる可能性があります。

中古住宅流通の停滞が空き家問題の解消を遅らせている

日本における中古住宅の流通は、欧米諸国と比べて低調な状況にあります。国土交通省の調査によると、日本の中古住宅流通シェアは、全住宅流通量の約15%にとどまっています。この中古住宅流通の停滞が、空き家問題の解消を遅らせる要因の一つとなっているのです。

中古住宅流通が停滞する背景には、品質への不安や価格の不透明性などの問題があります。日本では、中古住宅の品質を保証する仕組みが十分に整備されておらず、購入者は品質への不安を抱えています。また、中古住宅の価格決定プロセスが不透明であることも、取引を阻む要因になっています。

さらに、中古住宅流通の停滞は、空き家の長期化や放置につながる恐れがあります。中古住宅の売却が困難な場合、所有者は空き家の管理コストを負担し続けなければなりません。経済的な負担の増大は、空き家の管理意欲を低下させ、放置につながる可能性があります。

空き家の放置を助長する税制の影響は無視できない

空き家問題の解消を阻む要因の一つに、税制の影響が挙げられます。

現行の税制では、空き家に対する固定資産税の優遇措置や、相続税の負担などが、空き家の放置を助長する側面があります。こうした税制上の問題が、空き家問題の深刻化につながっているのです。

固定資産税は、住宅の所有に伴う主要な税金の一つです。しかし、現行制度では、一定期間、空き家に対する固定資産税の軽減措置が適用されます。この優遇措置は、所有者の空き家管理に対する意識を低下させる恐れがあります。税負担が軽減されることで、空き家の放置を助長する可能性があるのです。

また、相続税の負担も、空き家の放置につながる要因の一つです。相続発生時には、不動産の評価額に基づいて相続税が課税されます。空き家の場合、管理不全により不動産の価値が下がることで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。こうした税制上のメリットが、空き家の管理意欲を低下させる恐れがあります。

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【まとめ】

人口減少や高齢化、住宅の老朽化、相続問題、地方経済の衰退、住宅政策の課題など、空き家問題には複雑な要因が絡み合っています。

空き家問題は、日本社会の変化を反映した複合的な課題ですが、同時に、私たち一人一人が関わる身近な問題でもあります。この問題の解決に向けて、国民一人一人が当事者意識を持ち、できることから行動を起こしていくことが重要ではないでしょうか。

このコラムの監修者

監修者:秋元 弥一郎
秋元 弥一郎FP / 空家コンサルタント/ 宅建士 

宅建士・ファイナンシャルプランナー・空き家相談アドバイザー・家財整理コンサルタント、等。
不動産業界10年以上の経験と、空き家の利活用から家財撤去まで幅広い経験を活かしながら、執筆者・監修者として活動中。

【著書】
自分ゴトとしての空き家問題、今日から始める生前整理、など

家財の処分・空き家管理などは
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このコラムを執筆した人

解決・空家サポート 編集部

解決・空家サポート 編集部

解決・空家サポートは、数多くの空き家等にまつわるお悩みを解決してきました。
ゴミ屋敷の家財整理や残置物処理、空き家の定期巡回、庭木の剪定、古くなったお住まいの解体などのお悩み解決の経験を活かし、お悩み解決に役立つコラムをお届けします。

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