訃報を知らせる新聞のお悔やみ欄。家族が亡くなった場合にどのような方法で掲載の手続きをするかご存知でしょうか。
お悔やみ欄に掲載する目的とは何でしょう。メリットやデメリットを交えて詳しく紹介します。
お悔やみ欄への掲載には、訃報を広く伝えられるというメリットがある一方で、個人情報の漏洩や空き巣被害のリスクもあります。掲載するかどうかは、故人や遺族の意向、地域の風習、個人情報保護などを総合的に判断する必要があります。
生前にお悔やみ欄への掲載についての意向を家族に伝えておくことで、残された家族の負担を減らすことができるでしょう。ぜひこの機会に、お悔やみ欄について理解を深めてみてください。
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新聞のお悔やみ欄とは
新聞のお悔やみ欄とは、故人の訃報や葬儀に関する情報を掲載するスペースのことを指します。お悔やみ欄には、以下のような内容が掲載されます。
- 故人の氏名、死亡年月日、享年
- お通夜・葬儀・告別式の日時と場所
- 喪主の氏名
ほとんどの新聞にはお悔やみ欄が設けられており、新聞社に依頼すれば無料で掲載してもらえます。地方では現在でも、住民が亡くなるとお悔やみ欄に訃報や葬儀情報を掲載する風習が残っています。お悔やみ欄を見て訃報を知り、葬儀に参列する方も多く、訃報を広く伝える手段として活用されているのです。
一方、都心部では新聞の定期購読をしていない家庭も増えています。そのため、お悔やみ欄の存在自体を知らない人もいるかもしれません。
お悔やみ欄と死亡広告の違い
お悔やみ欄と似たものに「死亡広告」があります。死亡広告は、多くの人に故人の訃報を知らせるための有料広告です。お悔やみ欄と死亡広告には、以下のような違いがあります。
- 掲載料:お悔やみ欄は無料だが、死亡広告は有料
- 制作者:お悔やみ欄は新聞社が制作するが、死亡広告は広告代理店が制作
- 確実性:お悔やみ欄は必ず掲載されるとは限らないが、死亡広告は必ず掲載される
死亡広告は、お悔やみ欄のように掲載内容が限定されていません。サイズや掲載エリアによって掲載料金も大きく異なります。故人が会社の経営者や著名人で、法人葬や社葬などを執り行う際に、大勢の人に訃報や葬儀の予定などを知らせる場合によく使われます。
死亡広告のスペースは黒枠で囲まれているため、通称「黒枠」とも呼ばれています。新聞社に直接依頼するか、広告代理店を通して依頼します。葬儀会社が手続きをしてくれる場合もあるので、確認してみましょう。
お悔やみ欄への掲載方法は?
お悔やみ欄に掲載を希望する場合、主に以下の2つの方法があります。
- 遺族が直接新聞社へ申し込む方法 遺族が新聞社に直接連絡し、掲載する内容(故人の氏名、死亡年月日、享年、死因、お通夜・葬儀・告別式の日時と場所、喪主の氏名など)を伝えます。
- 葬儀会社が代理で手続きをしてくれる場合 地域によっては、お悔やみ欄への掲載が慣習化しているところも少なくありません。そのような地域では、葬儀会社が新聞社に掲載の依頼をしてくれることが多いようです。
また、掲載内容の調整も可能です。例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 訃報のみを掲載し、葬儀などの詳細情報は掲載しない
- 家族葬など小規模な葬儀を行った後に、葬儀が無事に終了したことを掲載する
ただし、お悔やみ欄への掲載は無料のため、依頼しても必ず掲載されるとは限りません。新聞社の判断により、掲載が見送られる可能性もあることを覚えておきましょう。
お悔やみ欄に掲載するメリット
お悔やみ欄に訃報を掲載することには、以下のようなメリットがあります。
故人の訃報を多くの人に伝えられる
新聞のお悔やみ欄を見ることで、連絡先を知らない人や遠方に住んでいる人にも故人の訃報を知らせることができます。生前に故人と親しかった方々を遺族が把握しきれていない場合や、連絡したい相手への情報伝達手段がない場合でも、お悔やみ欄を通じて訃報を伝えられるのです。
葬儀などの詳細な情報を知らせる手間が省ける
お悔やみ欄にお通夜・葬儀・告別式の日時や場所を掲載することで、個々に連絡する手間を省くことができます。また、お悔やみ欄を見た方が葬儀に参列してくださった場合、香典を頂く可能性もあります。そのため、香典返しの準備にも役立つでしょう。
葬儀の終了を知らせることができる
葬儀終了後にお悔やみ欄に掲載することで、葬儀が無事に終わったことを多くの人に知らせられます。人の死はデリケートな話題なので、遺族に直接連絡を取るのはためらわれるという方も少なくありません。お悔やみ欄での掲載を見れば、そうした方々も葬儀が滞りなく終わったことを知ることができるでしょう。また、新聞によっては菩提寺(お墓のあるお寺)を掲載してくれることもあるので、記事を見てお墓参りに来てくださる方もいるかもしれません。
お悔やみ欄への掲載で起こりうるリスク
お悔やみ欄に訃報を掲載することには、以下のようなリスクが伴う可能性があります。
個人情報が不特定多数の人に知られてしまう
お悔やみ欄には喪主の氏名や住所が掲載されるため、新聞を読んだ不特定多数の人に個人情報が知られてしまいます。その結果、以下のようなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
- 掲載後に電話や訪問によるセールスが増加する
- 葬儀に関係のない勧誘の連絡が来る
このようなトラブルを防ぐためには、お悔やみ欄への掲載内容に注意を払う必要があります。例えば、住所を明記しないようにするだけでも、不要な勧誘や連絡を避けることができるでしょう。
留守の時間帯が把握されて空き巣被害に遭いやすい
お悔やみ欄にお通夜や葬儀、告別式の日時を掲載すると、自宅を留守にしている時間帯を多くの人に把握されてしまいます。悪意を持った人物がこの情報を利用し、葬儀中の留守宅を狙った空き巣を行うケースが後を絶ちません。
このリスクを完全に排除することは難しいですが、以下のような対策を講じることである程度は防ぐことができます。
- 葬儀や告別式などで自宅を留守にする際は、必ず施錠を確認する
- 自宅のセキュリティを強化する(警報装置の設置など)
- 親戚や友人、近所の人などに留守番を頼む
参加者が予想以上に増える場合も
お悔やみ欄を見て葬儀に参列する方がいる場合、予想よりも多くの参列者が訪れるかもしれません。その場合、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
- 香典返しが不足してしまう
- 会場の座席が足りなくなる
- 料理の量が不足する
このようなトラブルを防ぐためには、事前に十分な準備をしておくことが大切です。具体的には、以下のような対策が考えられます。
- 香典返しを多めに用意しておく
- 参列者が増えた場合に備え、予備の座席を確保しておく
- 料理の量を多めに注文しておく
また、万が一トラブルが発生した場合に備え、後日お礼状と一緒に香典返しを送付するなどの対応策を考えておくことも重要です。
お悔やみ欄への掲載はしたほうがいい?
お悔やみ欄への掲載は義務ではありません。掲載するかどうかは、故人や遺族の意向、地域の風習などを考慮して決めましょう。
掲載しなくてもマナー違反にはならない
近年、新聞の定期購読をしていない家庭が増えてきています。また、個人情報保護の観点から、お悔やみ欄への掲載を控える方も少なくありません。特に都市部では、掲載しないことが一般的になりつつあります。
また、家族葬の場合は、一般的にお悔やみ欄への掲載はしません。親族や近しい方のみで葬儀を執り行うため、広く訃報を知らせる必要性が低いためです。葬儀終了後に、葬儀が無事に終わったことをお悔やみ欄に掲載するご遺族もいらっしゃいますが、最近はその報告掲載さえも控えることが多くなりました。
以上のように、お悔やみ欄への掲載は必須ではありません。掲載しないからといって、マナー違反になることはないでしょう。
どのような場合にお悔やみ欄に掲載するのか
一般葬の場合は、比較的お悔やみ欄に掲載する傾向が強くあります。特に、故人が会社を経営していた方などは、生前に多くの方と関わりがあったと考えられます。そのような場合、「故人の立場を考えると、掲載しないのは不自然だ」と思われるかもしれません。
また、地域によっては、お悔やみ欄への掲載が慣例化している場合があります。そのような地域では、風習に従って掲載することが賢明かもしれません。
ただし、規模の大きい会社の経営者などが亡くなった場合は、お悔やみ欄ではなく死亡広告を選択するのがよいでしょう。死亡広告なら、確実に訃報を多くの方に伝えることができます。
以上のように、お悔やみ欄への掲載は、故人の立場や地域の風習、葬儀の規模などを総合的に判断して決めるとよいでしょう。
お悔やみ欄への掲載を見送る方法
お悔やみ欄への掲載を希望しない場合、特別な手続きは必要ありません。以下の点に注意しましょう。
- 新聞社から掲載の確認連絡が来ても、掲載しない意向を伝える
- 第三者が勝手に新聞社に情報を提供しても、喪主に確認の連絡が入るため、遺族を通さずに掲載されることはない
ただし、葬儀社を通しての手続きが慣習となっている地域の場合は注意が必要です。葬儀社にお悔やみ欄への掲載を希望しないことを伝えておかないと、自動的に掲載手続きが進められてしまうかもしれません。
以下のようなステップで、お悔やみ欄への掲載を見送ることができます。
- 葬儀社に依頼する際、お悔やみ欄への掲載は希望しないと伝える
- 新聞社から掲載の確認連絡が来た場合、改めて掲載しない意向を伝える
- 万が一、掲載されてしまった場合は、新聞社に連絡し、今後の掲載を控えるよう依頼する
お悔やみ欄への掲載は遺族の意向が尊重されるべきものです。掲載を見送りたい場合は、自分の意思をはっきりと伝えることが大切です。
【まとめ】お悔やみ欄への掲載、するべきかしないべきか?判断のポイントを解説
新聞のお悔やみ欄は、故人の訃報や葬儀に関する情報を掲載するスペースです。
お悔やみ欄への掲載には、訃報を広く伝えられるというメリットがある一方で、個人情報の漏洩や空き巣被害のリスクもあります。掲載するかどうかは、故人や遺族の意向、地域の風習、個人情報保護などを総合的に判断する必要があります。
掲載を希望しない場合は、葬儀社や新聞社にその旨を伝えることが大切です。生前にお悔やみ欄への掲載についての意向を家族に伝えておくことで、残された家族の負担を減らすことができるでしょう。