「空き家を放置していたら庭木が伸び放題に…」、「庭木の管理に思ったより手間がかかるのでどうにかしたい…」。
庭付きの空き家をお持ちの方であれば、このようなことで悩まれた経験があるのではないでしょうか。
本コラムでは、空き家の庭木の管理やトラブル例、伐採したほうが良いのかどうか、伐採と剪定の違いなどについて詳しく解説します。
空き家の庭木の適正な管理を考えるきっかけになれば幸いです。
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空き家の庭木を放置すると発生するトラブルをご紹介
まずは空き家の庭木がもたらすトラブルについて焦点をあてて、いくつかよくあるトラブルを挙げていきます。
空き家の植木の越境問題
空き家となった家屋の庭木や雑草が手入れされずに放置されることで、伸び放題の植物が隣接する家の敷地内にはみ出して迷惑を及ぼすことになります。
それだけではなく、木の枝などが隣家に越境してしまった場合、伸びた枝が物理的に建物に傷をつけてしまう、落ち葉が雨樋をつまらせてしまう、落ちた果実が車を汚してしまうといったことも考えられます。
しかし、隣家の所有者が直接これらの植物を切り取ることは、必ずしも法的に無条件で可能なわけでは無いため、基本的には所有者が責任を持って処理しなければいけません。
スズメバチやシロアリが繁殖する可能性も
庭木や植物が伸び放題になると、スズメバチやシロアリやハクビシンといったいわゆる害獣・害虫にとっては住みやすい環境になるため、巣を作ったり繁殖してしまう可能性があります。
特に、スズメバチは大変危険ですので、巣が隣の家にあったら、かなりの恐怖を覚えるでしょう。一方、シロアリは建物の構造に深刻な被害を与える可能性がありるため、被害が大きくなってしまう可能性もあります。
雑草の種が飛ぶことで敷地外にも影響を及ぼす
雑草は、単にその場所だけにとどまらず、その影響を周囲に広げることがあります。
雑草が成長し続けると、その種が敷地外へと広がり、近隣の庭や公共の場所にも雑草が生える原因となるため、近隣住人にとってはかなりの迷惑です。
放火や空き巣被害などの治安の悪化
冬になると、伸び放題だった雑草が枯れ、燃えやすい状態になります。このような状態だと、例えば不注意なタバコのポイ捨てなどが原因で火災が発生する危険性を高めることになります。
また、放置された植物が鬱蒼と生い茂ることで、外からの視界を遮り、敷地内が外から見えにくくなることで、空き巣のターゲットになりやすくなる可能性もあります。
敷地内に侵入してしまえば、外からは行動を観察されにくく、空き巣をし易い条件が整ってしまうのです。
植木が伸び放題のままだと罰金の可能性も
空き家や放置された敷地の管理が適切に行われていない場合、自治体から「特定空き家」や「管理不全空き家」といった指定を受ける可能性があります。
これらの指定は、その物件が周囲の環境や地域社会に悪影響を及ぼす可能性があると判断された場合に行われます。植木が伸び放題になっている場合は、状況にもよりますが、指定を受ける要因の一つとなる可能性があります。
一度「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されると、所有者には自治体から改善指導されることになりますが、これに従わない場合、所有者は50万円以下の過料に処せられる可能性があります。
また、指導を無視し続けた場合、固定資産税の優遇措置を受けられなくなる可能性があり、その結果、税金が大幅に跳ね上がってしまいます。
空き家の植木でご近所トラブル!所有者の責任は?
空き家の植木が原因で起こるご近所トラブルについて、所有者の責任は現行の民法によって明確に定められています。
竹木の枝や根が隣地に越境してしまった場合、その植木の所有者は越境された側からの要求に応じて切除する義務があります。
2021年の民法改正により、共有名義で所有されている竹木に関しても、各共有者は他の共有者の同意なく単独で切除することが可能になりました。これにより、共有者間の合意形成の遅れが原因で越境問題が放置される事態を避けることができます。
越境された側の権利も強化されており、一定の条件下で植木の伐採を所有者に催告することができます。さらに、植木の所有者が不明である場合や、急迫の事情がある場合には、裁判所の介入なしに伐採を行うことが許可されています。
空き家の庭木は早めの対策でトラブル防止
都市部では特に建物が密集しており、空き家の庭の手入れが行き届かないことで、近隣住民からの苦情が発生しやすい状況にあります。そのため、早めの対策がトラブルを防ぐ上で非常に重要になります。
空き家の庭の手入れは、害虫の発生抑制、不法投棄防止、防犯改善といった複数の面で近隣住民の生活品質を守るために、早めに対策を取るようにしましょう。
庭木の手入れを専門業者に依頼する
空き家の庭のメンテナンスを業者に依頼する場合、主な依頼先としては以下が挙げられます。
- 造園業者
- 便利屋
- シルバー人材センター
造園業者は、植木の剪定や庭の設計、維持管理など、専門的な技術や知識を要する作業を行うことができる植物のプロです。美しい庭を維持したい、または専門的な知識が必要な植物の手入れがある場合に適しています。
便利屋は、剪定や草むしりといった比較的単純な作業を依頼することができます。
シルバー人材センターは、費用は比較的安価であることが多いですが、人気が高いため予約が取りづらい傾向にあります。予算を抑えたい場合に適しています。
庭木の手入れを自分で手入れする
空き家の庭の手入れを自分で行う場合、いくつかの注意点があります。
まず、なれない庭の手入れ作業では怪我をするリスクがあります。特に、高所での作業や重い道具を使用する場合には注意が必要です。
また、作業後には、剪定した枝や葉、抜いた雑草などの処分が必要になります。雑草は多くの場合、燃えるゴミとして処分することができます。
枝葉についても一般的には処分が可能ですが、は自治体によっては資源ゴミとして扱われることもあります
また、自治体によっては出せるゴミの量(ごみ袋5袋まで、など)には上限が設けられているケースもあるため、大量の庭の廃棄物を処理する場合には、注意するようにしましょう。
空き家の近くに住んでいる親族にお願いする
もし空き家の近くに親族が住んでいたら、定期的な見回りや手入れをお願いしてみるのも良いでしょう。
依頼する際は感謝の気持ちを忘れず、年に数回、お礼の品を持参しても良いかもしれません。
剪定と伐採の違いは?どっちが良い?
空き家の庭木の管理をする場合、剪定と伐採のどちらがより適しているのでしょうか。
ここでは2つの違いについて、詳しく見ていきます。
剪定と伐採の違い
剪定と伐採はそれぞれの目的と方法には大きな違いがあります。
【剪定】
剪定は、木の健康を維持し成長させるために行われます。不要な枝や葉を慎重に切り取ることで、木の形を整え、風通しを良くします。木を美しい状態にを保つことが剪定です。
【伐採】
伐採は木を根本から完全に取り除く作業を指します。木が病気にかかっている、建物や道路に危険を及ぼす可能性がある場合などに、主に木を完全に除去する目的で行われます。
空き家の木は伐採したほうが良い?
空き家の庭木をどうすれば一番良いかは、その木が持つ価値や空き家の状況によって異なります。
伐採を選択する最大の利点は、管理の手間を大幅に減らすことができる点にあります。木を一度取り除けば、定期的な手入れの必要がなくなり、長期間のメンテナンスに関わる労力や費用を節約できます。
しかし、伐採には大きなデメリットも伴います。
まず、木を切り倒すことで、その土地の見た目が劇的に変わってしまいます。目隠しのがなくなり、外から敷地内を見通せるようになってしまうこともあります。
また、隣家との間の自然な目隠しや、防音効果も失われることがあるため、プライバシーや生活環境に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、伐採する木が思い出深いものであった場合、親族間でのトラブルの原因となることもあります。特に、共有された空き家や家族の土地にある木であれば、その取り扱いを巡って意見の相違が生じる可能性があります。
一方、剪定を選択する場合、木を安全かつ健康的に成長させることができます。しかし、剪定は定期的に行う必要があり、少なくとも年に3~4回は専門家による手入れが必要になります。このため、時間とコストがかかる作業となり得ます。
庭木を管理すべき空き家が遠方にある場合
遠方にある空き家の庭の手入れをするには、造園業者など専門業者に依頼する方法が一般的です。
業者を選ぶ際は、不在時でも対応してくれるな専門業者を探すようにしましょう。
まず、業者に依頼する際は、立ち会わなくても作業の様子を確認できるように、作業前後の写真を提供してくれる業者かどうかを確認しましょう。
また、業者を選ぶ際には、作業希望の内容と範囲をしっかりと伝えて、こちらの要望通りの作業をしてもらえるようにしましょう。
また、しっかりと見積りを確認し、予想外の追加費用が発生しないように、事前にしっかりと見積もりを取ることが大切です。
空き家は適切に管理していかないと様々なトラブルが発生します。面倒ではあっても後回しにしないほうが結果的にスムーズに行くケースが多いのは、庭木の管理も家財の整理も一緒です。
家財の整理についてお悩みの際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
【まとめ】空き家の木は伐採すべき?空き家の庭木から発生するトラブルをご紹介!
このコラムでは、空き家の庭木管理がもたらす問題と、それを回避するための具体的な対策を紹介しました。
越境問題、害虫の発生、火災リスクの増加など、さまざまな問題を引き起こす可能性のある庭木を適切に管理することが、空き家を管理するうえで大切になります。
このコラムが空き家と庭木の取り扱いについての解決の糸口になれば幸いです。