世帯主が亡くなった後、残された家族は深い悲しみに暮れながらも、葬儀や相続など様々な手続きに直面します。
これから何をすべきか分からず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、世帯主が亡くなった後に遺族が行うべき手続きを詳しく解説します。ステップごとに必要な書類や注意点を確認し、円滑に手続きを進めるためのポイントをお伝えします。

■読みたい場所にジャンプできます
世帯主が亡くなった直後にすべきこと

世帯主が亡くなった直後は、まず死亡の確認と医師による死亡診断書の発行が必要です。死亡診断書は葬儀の準備や死亡届の提出に必要な重要な書類です。
次に、葬儀社への連絡と葬儀の準備を行います。葬儀社に依頼する場合は、亡くなった方の希望や宗教、予算などを考慮して選びましょう。葬儀の日程や規模、式の内容などを決定し、必要な手配を進めます。
また、親族や関係者への連絡も重要です。亡くなったことを伝え、葬儀の日程や場所、服装などの詳細を連絡します。遠方の親族には早めに連絡を取り、日程調整を行いましょう。
葬儀の準備と並行して、亡くなった方の生前の意思を確認することも大切です。エンディングノートや遺言書がないか確認し、あれば内容を把握しておきましょう。
世帯主が亡くなった直後は、悲しみに暮れる中で様々な手続きを行う必要があります。焦らずに、親族と協力しながら一つずつ対応していくことが大切です。
死亡届の提出と必要書類

死亡届は、亡くなった日から7日以内に、亡くなった方の住所地の市区町村役場に提出する必要があります。死亡届の用紙は、役場や葬儀社で入手できます。
死亡届に必要な添付書類は以下の通りです。
- 死亡診断書または死体検案書
- 亡くなった方の印鑑(なければ関係ない)
- 届出人の本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
死亡届を提出すると、以下の書類を受け取ることができます。
- 死亡届受理証明書
- 埋火葬許可証
- 除籍謄本
これらの書類は、今後の様々な手続きに必要となるため、大切に保管しておきましょう。
死亡届提出時の注意点
死亡届の提出が期限を過ぎてしまった場合は、役場に相談しましょう。事情によっては、提出が認められる場合があります。
死亡届の記入方法は、役場の窓口で確認することができます。記入例を参考に、漏れや誤りのないよう注意して記入しましょう。字体が読みづらい場合は、別紙に記入内容を書いて添付するのも一つの方法です。
世帯主が亡くなったら遺族がすべき相続手続き

世帯主が亡くなると、遺された財産を誰がどのように受け継ぐのかを決める相続手続きが必要になります。
まず、相続人の確定と相続分の計算を行います。相続人は、亡くなった方の配偶者と子供たちが第一順位となります。相続分は、法定相続分に従って計算しますが、遺言書がある場合は、その内容に従って分配します。
次に、遺言書の有無を確認します。遺言書があれば、その内容に従って手続きを進めることになります。ただし、遺言書の内容が法律に反している場合は、無効になることがあるため注意が必要です。
相続人の中で、相続を望まない人がいる場合は、相続放棄の手続きを行うことができます。ただし、相続放棄には期限があり、原則として相続開始を知ってから3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。
相続手続きに必要な書類
相続手続きには、以下の書類が必要になります。
- 戸籍謄本や除籍謄本(相続人の確定に必要)
- 遺言書(ある場合)
- 遺産分割協議書(相続人同士で話し合って決めた内容を記載)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の住民票
これらの書類を揃えたら、法務局や金融機関などで手続きを進めていくことになります。
役所や銀行、保険会社等での手続き

世帯主が亡くなった後は、各種機関での手続きが必要になります。
役所では、亡くなった方の国民健康保険や年金、介護保険などの脱退手続きを行います。また、住民票の除票も必要です。これらの手続きには、死亡届の提出後に受け取る書類や、亡くなった方の保険証、年金手帳などが必要になります。
銀行では、亡くなった方の口座の解約や名義変更を行います。解約する場合は、亡くなった方の預金を相続人に分配することになります。名義変更する場合は、相続人の中で誰が口座を引き継ぐかを決める必要があります。
生命保険や損害保険の手続きでは、保険金の請求や契約内容の変更を行います。保険金の受取人が亡くなった方になっている場合は、新しい受取人を指定する必要があります。
手続きを行う際の注意点
各種手続きには、期限があるものが多いため、早めに取り掛かることが大切です。また、手続きに必要な書類を事前に確認し、不足のないよう準備しておきましょう。
役所や銀行での手続きには、亡くなった方の印鑑や本人確認書類が必要になる場合があります。事前に確認し、必要なものを用意しておくことが重要です。
手続きの内容や必要書類については、各機関のホームページや窓口で確認することができます。不明な点は、遠慮なく問い合わせるようにしましょう。
手続き先 | 主な手続き内容 | 必要書類の例 |
---|---|---|
役所 | 国民健康保険の脱退 年金の手続き 介護保険の手続き 住民票の除票 | 死亡診断書 亡くなった方の保険証 年金手帳 印鑑・本人確認書類 |
銀行 | 口座の解約 名義変更 | 死亡届 相続人の印鑑・本人確認書類 |
保険会社 | 保険金の請求 契約内容の変更 受取人の変更 | 死亡診断書 保険証券 相続人の印鑑・本人確認書類 |
自宅や不動産の名義変更

世帯主が所有していた自宅や不動産は、相続人に引き継がれることになります。その際、不動産の名義変更の手続きが必要です。
不動産の名義変更は、相続登記と呼ばれる手続きで行います。相続登記は、亡くなった方の死亡後、原則として3ヶ月以内に行う必要があります。期限を過ぎてしまった場合は、追加の書類が必要になることがあります。
また、固定資産税の名義変更も忘れずに行いましょう。名義変更の手続きを行わないと、亡くなった方宛てに固定資産税の通知が届き続けることになります。
亡くなった方が住宅ローンを抱えていた場合は、ローンの継承や返済方法の変更について、金融機関と相談する必要があります。
名義変更に必要な書類と手続き方法
不動産の名義変更に必要な主な書類は以下の通りです。
- 不動産の登記簿謄本
- 固定資産税評価証明書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の住民票
- 遺産分割協議書(相続人が複数いる場合)
- 相続人の戸籍謄本
これらの書類を揃えたら、法務局で相続登記の申請を行います。手続きは、相続人の中から代表者を選んで行うのが一般的です。
不動産の名義変更は、専門的な知識が必要になるため、司法書士や行政書士に依頼することをおすすめします。専門家に依頼することで、スムーズに手続きを進めることができます。
遺族年金や未支給年金の請求

世帯主が亡くなった場合、遺族は遺族年金や未支給年金を受け取ることができます。
遺族年金には、以下の3種類があります。
- 遺族基礎年金(国民年金)
- 遺族厚生年金(厚生年金保険)
- 遺族共済年金(共済組合)
受給できる遺族年金の種類は、亡くなった方が加入していた年金制度によって異なります。また、受給には一定の要件を満たす必要があります。
一方、未支給年金は、亡くなった方が受け取るはずだった年金のうち、まだ受け取っていない分のことを指します。未支給年金は、遺族が代わりに請求することができます。
これらの年金の請求は、亡くなった方の住所地を管轄する年金事務所で行います。必要書類を提出し、手続きを進めていきます。
遺族年金や未支給年金に関する注意点
遺族年金や未支給年金の請求には、期限があります。期限を過ぎてしまうと、受け取れる年金が減額されたり、受け取れなくなったりすることがあります。
ただし、請求が遅れた場合でも、最大5年分まで遡って受け取ることができます。この制度を遡及支給と呼びます。
遺族年金の受給資格がない場合は、一時金として寡婦年金や死亡一時金が支給されることがあります。これらの制度についても、年金事務所に相談してみましょう。
年金の種類 | 請求先 | 請求期限 | 必要書類の例 |
---|---|---|---|
遺族基礎年金 | 住所地の年金事務所 | 死亡日の翌日から5年以内 | 死亡診断書 戸籍謄本 振込先の口座情報 |
遺族厚生年金 | 住所地の年金事務所 | 死亡日の翌日から5年以内 | 死亡診断書 戸籍謄本 振込先の口座情報 |
未支給年金 | 住所地の年金事務所 | 死亡日の翌日から5年以内 | 死亡診断書 戸籍謄本 振込先の口座情報 |
世帯主が亡くなった後の注意点とトラブル対策

世帯主が亡くなった後は、様々な手続きを進める中で、トラブルが発生することもあります。トラブルを防ぐためには、相続人間の連絡を密にし、情報を共有することが大切です。
また、手続きに必要な書類は、複数部用意し、なくさないように管理することも重要です。書類の紛失は、手続きの遅延や再発行の手間につながります。
相続手続きは専門的な知識が必要になるため、司法書士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
トラブルを避けるためのポイント
相続を円滑に進めるためには、以下の点に注意しましょう。
- 遺言書がある場合は、その内容を尊重すること。遺言書の内容に不満がある場合でも、相続人全員で話し合い、解決策を探ることが大切です。
- 財産の分配は公平に行い、相続人全員の合意を得ること。一部の相続人だけが有利になるような分配は、トラブルの原因になります。
- 話し合いでも解決しない場合は、調停や裁判も検討すること。感情的にならず、冷静に対応することが重要です。
世帯主が亡くなった後は、悲しみや不安を感じながらも、様々な手続きを進めなければなりません。相続人同士が協力し合い、専門家のサポートを受けながら、一つずつ問題を解決していくことが大切です。
トラブルを避け、円滑に手続きを進めるためには、以下の点に注意しましょう。
- 相続人全員で話し合い、方針を決める
- 遺言書の内容を尊重し、公平な分配を心がける
- 必要書類は複数部用意し、なくさないように管理する
- 専門家に相談し、的確なアドバイスを受ける
- 感情的にならず、冷静に対応する
世帯主が亡くなった後の手続きは大変ですが、相続人同士が協力し合い、適切な対応を取ることで、円滑に進めることができます。

【まとめ】世帯主が亡くなったら遺族は何をすれば良い?
世帯主が亡くなった後の手続きは、死亡届の提出から相続、各種機関での名義変更まで多岐にわたります。
手続きを進める中では、書類の準備や相続人同士の話し合いが重要となります。
遺言書の内容を尊重し、公平な財産分配を心がけましょう。専門家のアドバイスを受けながら、一つずつ問題を解決していくことが大切です。
本コラムを参考に、必要な手続きを漏れなく進め、故人の想いを引き継いでいってください。